すべり台社会を是正すれば正社員と非正規の格差はあって良い

公開日: : 現代の日本人の働き方

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生活保護問題などでもお馴染みの社会活動家の湯浅誠さんが、今の日本社会を「滑り台社会」と揶揄したことは以前話題になりました。これは滑り台のごとく、一度落ち始めたら、止まることなく、1番下まで落っこちてしまう。日本社会の雇用の不安定さ、不完全さを端的に表した言葉です。実際、公務員以外の仕事で確実に安定しているといえるような仕事というのは、ほとんどなくなりつつあると思います。多くの仕事はいつクビ、解雇になるか?分からない、定年まで勤められる保障はどこにもなく、終身雇用を望んでいても、それが叶えられる可能性はそんなにないでしょう。そうなると、誰もがいつ会社をクビになる。リストラされてもおかしくないのです。そんな滑り台社会の実態とは、どうなっているのかこの滑り台社会を改善するにはどうすれば良いのか?考えてみたいと思います。

 

日本が「滑り台社会」と呼ばれる理由とは?

多くの場合、仕事を失うと、失業保険などもありますが、その受給可能期間も日本ではかなり短いといわれることもあります。すなわち、受給期間が終わると、収入は0です。後は自力で職を探すしか再び収入を得る術はありません。そして、それが上手くいかないと生活保護に頼るしかありませんけど、働き盛りの20代や30代といった人たちの場合、審査に通らない。「若いんだから、仕事探しなよ」と一蹴される可能性は高いです。本来、こういった拒否の仕方は許されないと思われますけど、知識がない多くの人はそれで諦めてしまう。頭の良い人は、ちゃんと正しい知識を見に付けて、職員に反論したり、弁護士を連れてきたりと、いろいろな策によって、生活保護の受給を開始できたりしますけど、そうじゃない人、世の中には弱い人というのは確実にいますから、そういう人は職員に丸め込まれて、生活保護を受給できない。

 

最後のセーフティネットなのに、最後の頼みの綱なのに、それが半ばオカシナ手法で拒否られるというのも、滑り台社会の一端をよく表していると思います。本来、この生活保護で多くの人が踏みとどまれるはずなのに、そこでも止まらず、さらにその下まで滑り落ちてしまう。おそれが今の日本の滑り台社会の特徴ともいえると思います。要はセーフティネットがまともに機能していないということですよ。この問題はたまに格差社会とも一緒に語られることもあります。日本は海外と比べてどうなのか?というのはよく分からないものの、私の目からすれば格差は相当あると思います。資本主義社会なのだから、格差があるのは自然としても、その格差があまりにも大きいということは所得の再分配があまり機能していないということも言えるのかもしれません。先ほどの失業保険や生活保護の問題を見ても、貧困層の人たちにお金が行き渡っていないというのが分かると思いますけど、=所得の再分配が上手くいっていないのです。

 

セーフティネットを充実させるのが何よりも先決

最近、正社員と非正規社員の格差をなくすべきか?といった議論もされていますが、私は本当はセーフティネットを充実させるのが先だと思うのです。というか、どれだけ不安定で収入が少ない仕事をしていても、最後はセーフティネットで救われる。セーフティネットがあれば、非正規で働いていたとしても、そのことに不安とかを感じる必要もないですし、生活に困る必要もない。それどころか、正社員に憧れを抱く必要もないわけですよ。逆に正社員になれないと人生終わりみたいな風潮が漂う原因があるとするならば、セーフティネットがきちんと整備されていないから、仕事を失ったときのショックがあまりにも大きすぎる。もう頼れるものがない!収入を保証してくれるものがない!そういった状況が正社員へのプレミア感を増幅させ、結果的に非正規の正社員に対する嫉妬や憎悪を膨らませる結果になったのではないか?と思うのです。

 

日本社会は犯罪を増幅させるメカニズムが整っている?

大切なのはセーフティネットなんですよね。だから、セーフティネットがちゃんとあれば、私は正社員と非正規社員の差を是正しなくても良いと思うし、格差はあって良いと思うのです。セーフティネットがないからこその犯罪も多いと思うし、世の中の幾多の犯罪のうち、金がらみが原因になっているものは相当多いと思うし、ベーシックインカムのような最低限の所得保障があれば、防げた犯罪も多いと思うのです。犯罪を防げたならば、被害の遭ってしまう人も減らせたはずですよね。よく犯罪者がどこかに立てこもっていたりする場合に、「犯人を追い詰めるな!」とか、「犯人を刺激するな!」といったことが言われています。セーフティネットをまともに作らず、仕事を失えば即生活が困窮するような人たちが現実に多く存在する。そして、生活をまともに成り立たせられるだけの仕事にありつけない人もいる。ましてや格差をどんどん広げて、格差の底辺の位置する人たちの、格差の上に位置する人たちへの嫉妬や憎悪を酷く増幅させるような状況というのは、不安や焦燥感を現実に煽っている状況といえると思うし、まさに彼らを刺激したり、追い詰めたりしている状況に等しいのではないか?と思います。犯罪を起こして良いとは言わないけど、犯罪が起きてもしょうがないような、そういうメカニズムが出来上がってしまっているのが、残念ながら今の日本社会の姿なのではないか?と思います。

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