「働かざる者食うべからず」の価値観が日本をダメにする
公開日:
:
ベーシックインカムの考察
ベーシックインカムという言葉をご存知でしょうか?以前と比べると、大分国民の間にもその言葉自体は浸透してきた感があると思います。このベーシックインカムは国民1人1人に毎月一定金額のお金を分け隔てなく、全員に配るという政策です。ベーシックインカムという理念自体はかなり昔からあったようですけど、いまだかつて実現した国はないと言われています。ただ、最近になってスイスでベーシックインカムに関する国民投票が行われて、その結果がどうなるか!?というのは、多くの国民の関心ごとかもしれません。このベーシックインカムについては、少なくとも日本では反対の意見が多いみたいです。僅差ながらも多分国民全員にアンケートをとると、反対の方が多いと思う。それはどうしてか?というと、この国にも「働かざる者食うべからず」という、信念があるからではないか?と思うのです。
現代の世の中で、「働かざる者食うべからず」は正しいのか?
この言葉が提唱された時代はかなり前といっても良いと思いますけど、そもそも言葉は多くの人が勘違いしている。と言われています。これは別に働かない人を全てを否定する意味で言われたのではなく、当時の資本家など、富と権力を集中させて、人々を働かせて、それのあがりで食っているような人たちへ向けて発せられた言葉だと言われています。ですから、今でいうところのニートなどの人たちには、当てはまらないのです。実際、ベーシックインカムの反対意見の中には「やっぱり、働かないものは食うべきじゃない」といったことも聞かれますけど、個人的には働かない人でも食って良いと思うんですよね。何で働かないと食ってはいけないのでしょうか?
人間が相変わらず働いているから、世の中はどんどん非効率に
昔は今みたいに農業や工業においては、それほど機械化は進んでいないし、人間が自ら働かないとそもそも食べ物を用意することも不可能だった。だから、人間自らが働かないと世の中が回らない状況でした。したがって、その当時は「働かないと食えない」時代だったんです。ただ、時代は進み、農業革命、産業革命を経て、現代では大部分を機械で代替できています。人間が直接行わないといけない部分もあるけど、その割合はかなり減ってきているでしょう。つまり、機械にやらせてしまった方が実は効率的だったりするのに、人間がいつまでも働かないといけないという価値観だけが残り続けると、いつまで経っても効率化は実現できない。イノベーションは起きない。よく外国人労働者の方が安いから。といって、多くの企業では日本人よりも中国人などを雇うケースが増えていますよね。これだって、賃金が安いという効率性を重視した結果だと思うんです。
じゃあ、それと同じで人間があえて働かないといけない分野以外は、もうロボットとか機械に任せてしまった方が世の中全体の効率性は上がると思うのです。人間が働かないといけないという価値観がいつまでも残っていると、人間のためにあえて職を用意しないといけない。そのために、機械に代替出来ない、ずっと非効率が進むという、何ともおかしな現象が起きてしまうのです。だから、私はそういった意味でも、無理して人間が働かないといけない世の中から早く脱却すべきだと思う。働かない者は食ってはいけない。こういった意見は早く廃れるべきだと思う。機械で代替できる分野はどんどん積極的にそうしていった方が良いのではないか?そして、代わり失業した人たちのために、ベーシックインカムで仕事がなくても、生きていける状態を作り上げる。それが長期的に見たら、世の中が良い方向に進んでいきそうな気がします。
ベーシックインカムは究極のセーフティネット
この国には一応「生活保護」という最後の砦となるセーフティネットがありますが、現在のところ上手く機能しているとは思えない。国民の多くから文句もきているし、不正受給や受給漏れの問題もある。セーフティネットは国民の生活を確実守らねばならない存在であると考えるが、この国ではどうしてもそれが上手く機能しないのです。それは日本人の国民性の問題があると思う。それは生活保護自体が一部の特権階級のように考えている人が多いと思うからです。要は貰っている人に対して、貰っていない人が嫉妬や嫌悪感を抱くというのがそれです。世の中で、生活保護や受給者をバッシングしている人たちは、おそらくこれが理由だと思います。ある程度はしょうがない気もするのです。一応財源は国民の税金であり、一部の人しか貰えないのですから。要は一部の人しか貰えないという点が特に大きいと思うんですよね。
例えば、これが全員に平等に貰えたならば、今あるようなバッシングは起きてないと思うのです。生活保護制度が、働く、働かない、収入、年齢等にかかわらず、誰もが平等に貰えるのならば、ほとんど文句は出てこないと思うんです。かつてあった地域振興券や定額給付金だってそうでしょう。あれは国民全員に一律に給付されたものでした。そのときに特に今のような不満の声は出なかったと思います。多くの人が自由に使っていたでしょうし、パチンコに使われたって何とも思わなかったでしょう。それはやはり自分が貰えていたからだと思います。だから、他人が貰っていることに対する羨望や嫉妬は生まれないのです。これが実現できるのがベーシックインカムなのです。生活保護は一部の人しか貰えないと、その貰っている人に対して、貰えない人からのバッシングがある。それによって、後続の人たちが受給資格があるのに申請を躊躇ってしまう。その結果、この国では受給資格があるうち、2割しか受給できていないという現実があるのです。これがセーフティネットと呼べるのですか?全員一律に支給されるベーシックインカムこそ、セーフティネットとしての機能性を十分に発揮できるのではないでしょうか?逆にベーシックインカムが無理というのであれば、確実に私たちの生活を下支えしてくれるセーフティネットは、日本では皆無に等しいと思います。
関連記事
-
ベーシックインカムで働かなくなる?労働意欲や働かない人の問題は起きないと思う
ベーシックインカムが導入されると、人々が働かなくなるという言説があります。ベーシックインカム
-
年金や生活保護は廃止で、ベーシックインカムの方が得だよ?
私はいまだに国民年金について疑問を持っている。多くの人は不満を持っているに違いない。若者と高
-
正社員をクビにできないはおかしい!解雇規制の緩和は当然
働かない正社員はクビにすべき!というオリックスの宮内社長だったかな?が発言したのが話題となっ
-
ベーシックインカムの財源は問題ない!デメリットもない
国民1人1人に定期的に基本的な所得を与え、生活に困らない程度の支援をしていく。それが永遠に続
-
待機児童はなぜ増える?減らない理由は?減らすには解決策は何がある!?
日本を騒がせている待機児童の問題ですが、実はあまり問題じゃないという声もあります。実際、待機
-
ベーシックインカム導入国、実施国はないが近い国はある
ベーシックインカムという考え方があります。これは日本でもある程度議論されるようになってきたの
-
貧困や仕事探し、生活費すら厳しいシングルマザーの辛さ
「シングルマザー」問題は以前から日本でも取り沙汰されてきました。実は、今日本で生活しているシ